act.19
作品
テーマ
「尾張四観音と
名古屋城」
まほろばとは、住みやすい場所、素晴らしい場所の意
[蓮の花]
光に包まれた蓮の花、
どこかの誰かの夢の中。
静かに開く一輪の花。
鎮座する仏が見つめるのは、遥か先
まほろばの国、名古屋。
【名古屋】
夢から覚めた目に映るのは、いつもと変わらぬ名古屋の町。裕福とはいかないまでも、僧も女も気ままに暮らす。
袖ふれあうも多生の縁。人々の粋な心はこの名古屋に根付き、束の間の幸せを謳歌する。
ふと、不安が胸をよぎる。
この幸せは、いつまで続いてくれるのだろう。
【開門】
不吉な音が、名古屋に響く。
鬼門が開いてしまった。
邪気は名古屋の町に流れ込み、空を覆う。
町の様子は一変し、焦り、恐れ、人々は逃げ惑う。
邪気は、人の心にも影を落とした。
名古屋の人々が抱えていた漠然とした不安にとり憑き、暴れまわる。
行き場を失った人々は、ただあてもなく歩く。薄曇りの空と、町を覆う霧に境はない。どこからか鐘の音。
ああ、どこへ向かえば、どこを目指せば。
【尾張四観音】
しゃん、しゃん。
これは、錫杖をつく音か。
ふと顔をあげると、雲の切れ間から
細い光がさす。
何かが変わる気配がする。
邪気が流れ込んでいた鬼門は閉じられ、代わりに四つの光が名古屋を照らす。
もう下を向くものはいない。
目指す場所は、欲しいものはなんだ。
【名古屋城築城】
決意を胸に人々は
瓦礫を運び、杭を打つ。
思いは実を結び、
ここに我らの城が建つ。
なごやばやしの音色と歌が、
どこまでも響く。
ここから、始まる。
【大団円】
少し時は経ち、数年後の名古屋。
いつもと変わらぬ人々の顔。
人々の顔に曇りはない。
この幸せがどこまでも
続いていきますように。
ここは、まほろばの国、名古屋。
歌詞
水面に紋を描く
花の白く香るひとひら
揺らめく 蛍火は集い燃ゆる
宵の燈となれ
惑い翳りゆく 人心
水面に紋を描く
花の白きひとひら
明日には種を残し
土に触れ眠る
水に触れ眠る
名古屋ばやしでよっさよさ
この地を想い歌う
人よ悲しむことなかれ
ここに愛を願う
名古屋ばやしでよっさよさ
願いの果ては
誰ぞ知る物語
日は沈み繰り返す
永久に伝えゆく
心ひとつに
四恩の光を背に花はまた芽吹く